『「鈴⽊敏夫とジブリ展」 また、会えたね!』が2023年6月9日(金)~8月31日(木)の期間に福岡市博物館で開催されます。6月8日(木)に開会式が行われ、鈴木敏夫氏が登壇してスピーチしました。その様子をフォトレポートでお届けします。
目次
「鈴⽊敏夫とジブリ展」 また、会えたね!
世界的なアニメ作品を世に送り出したスタジオジブリ。⾼畑勲・宮﨑駿の両監督を支えた、プロデューサー・鈴⽊敏夫氏にフォーカスした展覧会です。一部が実際に手に取って読める鈴⽊⽒の蔵書8,800冊や、1万点に及ぶ鈴木氏が選んだ映画DVDが展示されます。
また、トトロのフォトスポットに、湯婆婆おみくじなども有り、グッズショップ「油屋別館」では福岡限定の商品も並びます。漫画に埋め尽くされた鈴木氏の四畳半の部屋再現セットから、ジブリ最新作「君たちはどう生きるか」のポスター展示まで見どころ満載の内容です。鈴⽊氏の半生を通じてジブリのルーツを知ることができます。

「鈴⽊敏夫とジブリ展」 また、会えたね! メインビジュアル
開会式に鈴木敏夫氏が登壇
6月8日(木)に開会式が行われ、鈴木氏が福岡市博物館のステージに登壇しました。スピーチの内容をお伝えします。鈴木氏の言葉から展覧会の理解が深まり、一層楽しめると幸いです。ぜひ、ご覧ください。
福岡でのエピソード
鈴木:福岡、やっぱ良いですね。久々に来たんですけど。昨日、(福岡県内の)古い友人の家を訪ねましたが、一族で大歓迎してくれて本当に楽しかったです。(今日の)お昼に、とあるうどん屋へ行ったら、そこの女将さんが「明日からですね。」って(笑) 「えぇ!?」って思って、これビックリしましたね。で、パッと見たらサイン色紙とか色々持ってらっしゃるんですよ(笑) そういうことを含めて、なんか良かったですよね、気分が。

鈴木敏夫(すずきとしお)氏
鈴⽊敏夫とジブリ展について
鈴木:福岡について、車で移動していたら、「鈴⽊敏夫とジブリ展」のラッピングバスが見えて、「こりゃ、すげぇな…」と思いました。自分の名前が入っている展覧会名は少し照れくさいんですけど、中身はちゃんとした「ジブリ展」なんですよ。それを皆さんにわかって頂きたいです。
「鈴⽊敏夫とジブリ展」は歴史も語られますが、スタジオジブリが今どうなっているのかも分かります。僕自身のことが随分と触れてあるんですけど、そこで自分が子どもの頃から見た映画、読んだ雑誌などの本、この2つの要素は僕にとってすごい大きなものでした。それを一堂に会して皆さんにお見せするという機会です。多分、それらは皆さんがどっかで色んな作品(の情報)を共有して頂けるんじゃないかなと。僕としてはその後どうなったかを見守りたいというところです。

開会式の様子
テーマの一つである時代背景とその影響
鈴木:僕は団塊の世代(1947~1949年に生まれた第一次ベビーブーム世代、第二次世界大戦が終結した1945年の後)なんですが、若い頃に流行った言葉でいうと激動の時代。だから、目まぐるしく色んなものが変わってきた。アナログとデジタル、それに寄り添いながらやってきた人生だという気がしますね。

鈴木氏は1948年に名古屋で生まれる
一番影響が大きかったのは平成かなという気がしてるんです。長く生きてきて何を一番感じているかというと「男と女(の変化)」。特に女性の変化が激しかった。それが一番顕著だったのが平成って気がするんですよ。そのときに女性が自分達の色んな自己主張をした時代です。それによって、僕らの映画も自ずと主人公が女性になったんですよね。

テープカット時にカオナシ(左)・湯婆婆(右)がサプライズで登場
任侠映画のどのような部分が好きか
福岡展より初公開となる約1万点の映画DVDが展示された「鈴木敏夫の映画コレクション」ルーム。この中には『次郎長三国志』など、任侠映画作品も多く並んでいます。
鈴木:1960~1970年代(鈴木氏が10~30代の頃)は僕が多感な時期なんですよ。(任侠映画作品は)組織と個人をテーマに映画が作られていたことが印象に残っています。

福岡展より初公開「鈴木敏夫の映画コレクション」
一番衝撃を受けた作品を映画・本から1つずつ
映画『人情紙風船』
鈴木:戦前の日本映画「人情紙風船」が好きでしたね。山中貞雄という人が監督なんですけど、作られた年代が〝これから本格的に戦争が始まる〟時代に作られていて。作品に暗い時代がくることが分かってる。その中で人はどうやって生きていくのか(を問うた作品)。
小説『姿三四郎』
鈴木:若い頃、僕と宮崎駿がね、二人で出会って最初の頃なんですけど、お互い読んでいた本が富田常雄っていう人の柔道小説『姿三四郎』というのがあったんです。これが好きでしたね。だから、その好きってのは(自分が)中学・高校生のときに読んで、彼(宮崎駿)も若い頃に読んでいるから(思い出深く)、(お互いに)歳を取ってもいまだに姿三四郎の話をしている。姿三四郎のひたむきに生きる人生に惹かれた。
もしかしたら、宮崎駿の主人公・ヒロイン像に関係があるかもしれない。主人公がひたむきで一生懸命。それでいて可憐。そういう姿ですかね。今じゃちょっと流行らないかもしれないけれど。でも、宮崎駿のキャラクターには必ずそれが出ていますね。そんな気がしますけれども。

蔵書8,800冊が並ぶ「鈴木敏夫の本棚」コーナー
老若男女を問わず、皆が楽しめるものを目指した
鈴木:映画において僕が観客だったときと、僕が映画を作り始めた、送り手になった頃で、映画の状況が随分変わっちゃってたんですよ。何が変わったかというと、僕らが子どもの頃見ていた映画は老若男女、性別も年齢も問わずに(観客の)皆が見て楽しんでいた。これを(映画製作者の)皆、作ってきたんですよ。ところが、僕が大人になった頃にそこが大きく変わりましてね。これはあるターゲットが女性であったり男性であったり、それである年齢を絞る。そういうことが始まってたんですよ。
だから、映画を作り始めたとき、もう一回1つのものに老若男女を問わず、皆が楽しめるもの、それを目指しました。これが大きかったですね。多分、ジブリの作品はそうなっていると思います。ある一人の、個人の悩み。それを中心にした、本とか映画は当然あると思うんですよ。ただ、それによってお客さんを絞っちゃうんですよ。だから、僕らは変な話、そういうものを作らないようにしたんです。

鈴木氏とカオナシ、湯婆婆
鈴木氏の歩みをどのように見ればよいか
鈴木:僕の個人の魅力じゃないと思うんですよ。僕がジブリに関わって宮崎駿・高畑勲と作品を作ったことに関しては、間違いないわけじゃないですか。そしたら、その人(鈴木敏夫)がね、一体どういうものを見て、どういうものを読んで、そして血とし肉としてきたのか。それを知るということはジブリに近づくことになると思いますよね。僕を通してジブリのルーツを見てください。多分、これが最大のテーマだと思うんです。

記者団の取材に応じる鈴木氏
イベント概要
名称 | 「鈴⽊敏夫とジブリ展」 また、会えたね! |
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会期 | 2023年6月9日(金)~8月31日(木) 各日 9:30~17:30 (最終入場17:00まで) ※ただし、7⽉22⽇(⼟)〜8⽉26⽇(⼟)の⾦・⼟・⽇・祝⽇、8⽉14⽇(⽉)・15⽇(⽕)は20:00まで開館。(⼊館は19:30まで) ※月曜休館 |
場所 | 福岡市博物館 福岡県福岡市早良区百道浜3-1-1 (MAP) 電話 092-845-5011 [交通アクセス] |
内容 | アニメ映画に関する資料・イラスト・オブジェ展示、グッズ販売 |
料金 | [入場料] 一般 土日祝 1,700円、平日 1,500円 中高生 土日祝 1,400円、平日 1,200円 小学生 土日祝 1,100円、平日 900円 ※価格は全て税込 |
主催 | FBS福岡放送、西日本新聞社、西日本新聞イベントサービス |
特別協賛 | au (KDDI) |
福岡展 特別協賛 |
関家具 |
協賛 | ガリレオコーポレーション |
特別協力 | スタジオジブリ |
企画協力 | ムービック・プロモートサービス、博報堂DYメディアパートナーズ |
展示協力 | ア・ファクトリー |
後援 | 福岡県、福岡県教育委員会、福岡市、福岡市教育委員会、(公財)福岡市⽂化芸術振興財団、⻄⽇本鉄道、 九州旅客鉄道、NIB⻑崎国際テレビ、KKT熊本県⺠テレビ、KYT⿅児島読売テレビ、TOSテレビ⼤分 |
問合 | 鈴⽊敏夫とジブリ展 福岡展実行委員会(西日本新聞イベントサービス内) 電話 092‐711‐5491 平日 9:30~17:30 |
著作 | 画像はすべて福岡会場 ©RENGAYA ©Studio Ghibli |
URL | ●WEBサイト(福岡会場) |
※2023年6月8日(木)現在の情報です。記載の内容は情勢などの理由で予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください
「鈴⽊敏夫とジブリ展」また、会えたね!
2023年6月9日(金)~8月31日(木)
福岡市博物館
6月8日(木)に開会式が行われ、鈴木敏夫氏が登壇しました。「平成は女性の変化が激しく、色んな自己主張をした時代。ジブリの主人公も自… https://t.co/m2OLX4fMYa